地域政党自由を守る会 代表 上田 令子

本日、東京2020パラリンピック競技大会(以下、「東京パラ」)が開幕し、国立競技場において、1964年10月以来、57年ぶり2度目の東京大会となります。同一都市で現在の形式で夏季パラ大会が杯際されるのは、初めてです。各国から集ったパラアスリートの活躍と22競技539種目全てが無事に終了することを心より祈念するものです。

今回の東京パラは、五輪に続き、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延という過去に経験のない特殊な状況で実施されることになります。東京都内においては、5千人を超える感染者が連日、発表され、自宅療養者は4万人に迫る勢いです。この中からも死者が発生し、日本国内の死者数は1万5千人を超えてしまいました。感染拡大は「制御不能」との状況の下、小池百合子知事は、「医療非常事態」と述べ、医療体制のひっ迫を訴えております。

本来、パラリンピックは障がい者アスリートによる競技を通じて、社会福祉・障がい者支援・社会参加を考える契機とし、ソーシャル・インクルージョン(共生社会)の実現を目指すものです。57年前の先の東京大会においては、インフラのバリアフリー化が進められるとともに、障がい者の地域生活に向けた各種法制の整備が進められるきっかけとなりました。これらの底上げは現在につながり、障がい者のQOLの向上が進められております。

もはや、今回の東京パラは、「完全な形」での実施は不可能です。ところが、トーマス・バッハIOC会長は、五輪閉幕翌日の不要不急の外出が報じられ、出入国を繰り返しております。このような状況の五輪相ら政府は容認してしまっています。パンデミック下において、大会運営者の自覚を改めて求めます。

本会は、パラアスリートやボランティアらの思いを心に深く刻みつつ、コロナ対策については常に最悪の状況を想定して万全を期しつつ、都民・国民の生命・健康を守り抜くためには、時宜に応じ、感染拡大防止に向け、一部競技・イベントの中止・延期を含め、あらゆる選択肢、判断を念頭に、柔軟な大会運営、迅速かつ最適な対応を強く求めます。想定外の辞退は絶対に避けられなければなりません。特に、観戦中のみならず、移動中においても、感染拡大リスクが指摘される、子どもたちの「学校連携観戦プログラム」は、即時全面中止を強く要望いたします。

新型コロナの感染拡大・市中感染により、自宅療養を強いられて、通常の医療にアクセスできない都民・国民が万単位で発生している状況は、国民皆保健制度という日本が世界に誇ってきたセーフティーネットが底割れしてしまっていると言わざるを得ません。福祉施設においても、多数のクラスター発生が報告されています。このような悪化の一途にある状況において東京パラが強行されたことは、パラ大会が目指したソーシャル・インクルージョンの理念に反し、機運を削ぐばかりか、理念そのものを根幹から破壊するものであり、厳しく指弾されなければならないことを指摘し、パラ開幕にあたっての談話といたします。