【小池百合子知事の所信表明について】

今定例会初日には、小池百合子知事による所信表明が行われました。
小池知事は、半年を超えて戦闘が続くロシアのウクライナ侵略による燃料費高騰に触れ「知恵を結集して困難に立ち向かい、持続可能な都市を実現していく」と述べました。電力供給の逼迫を受けて、環境確保条例を見直し新築建物への太陽光パネル設備等の設置義務化を拙速に強行するにあたり「今後、初期費用や付帯設備の更新費用の軽減に加え、パネル設置後のアフターフォローやリサイクルの促進などについても検討」と発言、制度が未完なことが露呈しました。都のパブリックコメントでも、4割という稀にみる高い数値の反対意見が寄せられたにも関わらず、代表・一般質問を通じての各会派の指摘には具体性を欠き、都民益に本当に叶うのかどうか説明を果たす真摯な姿勢は全く見られませんでした。
また、小池知事は開会日前々日の先月18日まで、米国を訪問しており、しかも日程が二転三転。果たして、2年を超えたコロナ禍の中、腰を据えて都民生活と都政課題に向き合う意思があるのか、大いに疑問を呈さざるを得ません

【補正予算、としまえん跡地購入、工業高校の名称変更、都民ファーストの会所属監査委員に反対】

まず、補正予算です。第173号議案「令和4年度東京都一般会計補正予算(第3号)は、足元の電力逼迫や物価高騰などの危機から都民の暮らしを守り、将来の脱炭素社会の実現へとつなげるため、HTT、脱炭素化の強化、原油、原材料価格、物価高騰等対策、新型コロナウイルス感染症対策などを補正予算の柱として、6029億円を増額するものです。困窮家庭支援は僅か10億円であるにもかかわらずHTTの名のもと486億円も計上し、太陽光パネル設置義務化を見切り発車で進めるものとして反対しました。
一方、追加送付された第204号議案「令和4年度東京都一般会計補正予算(第4号)は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の特別区に対する交付限度額が決定したことに伴い、107億円を増額するもので、都よりより近く区民に寄り添う23区を支援し、都民生活を守る観点から賛成しました。
次に、条例案です。第183号議案「東京都立学校設置条例の一部を改正する条例」他1件は、「工業高等学校の魅力の向上及び発信を図るため」として、15校の都立工業科高校の名称を「工業高等学校」から「工科高等学校」に改称するものです。都立の工業高等学校は、主に工業や産業についての専門技術や知識を習得することを目的とし、多くのものづくりの職人・エンジニアを輩出してきた伝統と実績、誇りがあります。一律の名称変更は学校の魅力の向上どころか、伝統を棄損するものであり、反対しました。
第192号議案「地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの中期目標について」及び地方独立行政法人東京都立病院機構中期計画の認可の専決処分についてはコロナ禍の収束が見られない中、都立・公社病院の地方独立行政法人化が強行されたことから、いずれも反対しました。
第194号議案は、としまえん跡地を練馬城址公園用地として土地を買い入れるもので、地域住民不在かつ利用計画が不透明なまま、土地取得を先行させるものであり、反対いたしました。
共産党提出の条例案4件は、いずれも財源に裏付けが見られないことから、高齢者など社会的弱者の熱中症予防を厚生委員会で求めた上で、反対いたしました。同じく、議員提出条例案「東京都立高等学校入学者選抜方法条例」についても、6年間も公教育で学んでも児童・生徒が英会話力が向上しないという根本的な原因を英語教育現場において解決することが優先課題であり、また教育への政治介入を強く諫める自由を守る会として反対しました。スピーキングテスト実施の際の混乱回避は強く求めるものです。
次に、小池知事が顧問を務める都民ファーストの会からの議選監査委員の任命について、都民ファーストの会公認、無免許当て逃げ元都議報酬返金に関し本会は住民監査請求をしたものの棄却となったことを鑑み、いわゆる“知事与党”から監査委員を専任しても適正な監査が期待できないことから、反対いたしました。そもそも議選監査委員の必要性についても、廃止を含む議論が求められます。

【パートナーシップ宣誓制度の規定整備、豊島区への児童相談所移管などには賛成】

第174号議案「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」ほか7件は、東京都パートナーシップ宣誓制度が創設に伴い、都職員の扶養手当等の制度について所要の改正を行うもので、賛成しました。都庁内においても、性的マイノリティーの人権が尊重され、都民に波及していくことを求めます。
第186号議案「東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例」、第187号議案「東京都児童相談所条例の一部を改正する条例」、児童自立支援施設に係る事務を豊島区から受託する第193号議案、第188号議案「東京都自然公園条例の一部を改正する条例」、第190号議案「東京都瑞江葬儀所(四)改築工事請負契約」等契約金額の総額は約32億円については、いずれも適正と判断し賛成しました。人事案では、公安委員会委員および土地利用審査会委員の任命に同意しました。

【一人会派の決算審査への参加について】

都議会は長年、前年度決算を審査する各会計決算特別委員会・公営企業会計決算特別委員会への一人会派の参加を認めてきません。このような排他的かつ異様な運用がされている都道府県議会は、全国で都議会のみです。小池知事が創設し特別顧問を務める「都民ファーストの会」は都議選で「ふるい議会をあたらしく」と掲げているにも関わらず、前期も今期も全く議会改革に意欲を見せない実態は「看板に偽りあり」「自分ファースト」との都民からのそしりを受けざるを得ないでしょう
そこで、本会は大会派しか委員を出せない両特別委員会の設置に反対するとともに、委員外議員として知事以下、理事者が答弁に立つ全局質疑への上田の参加が求められます。引き続き、予算審査・決算審査に多様な都民の少数意見を吹き込むべく、取り組みを進めてまいります。

【おわりに】

太陽光パネル義務化・神宮外苑樹木伐採問題においては、知事の想定以上の都民の反発に狼狽し難渋していることと思料します。コロナ禍・物価高に苦しむ都民は、「七つのゼロの政策実現ゼロ」知事のパフォーマンス・言葉遊びにもはや惑わされることもなく静かに透徹した目で今の都政を見つめています。それにも気づかずに、性懲りもなくHTT、「SusHi Tech Tokyo」、宮坂学副知事のトモダチ採用・発注が透けて見える新たな関連団体「GovTech東京」設立構想…今を生き、今日この日を生きることに精いっぱいな都民益に微塵も寄与するとはとても思えない施策に巨額を投じる感覚は到底理解ができません。税金は小池知事のお小遣いでもなく、都政は政治生命を盛り立てる道具ではないということを、引き続き地域政党自由を守る会は、都民に伝え地域から巨大権力と対峙し動かしてまいることをお約束致します。