2016年10月5日(水)、上田令子代表の都議会本会議に対する一般質問の全文です。

上田令子代表のブログ「上田令子のお姐が行く!」もご覧ください。

1.「都民ファースト」を取り戻す都政のグランドデザインについて
 1)都政のプリンシプルとソリューションについて
 政党が決めたのではない、組織が決めるものでもない、都民の皆様が決めた、都政史上初の女性知事誕生の歴史的瞬間に立ち会いまして、私は女性議員の本懐としてまことに誇らしく、そして、東京大改革に大きな期待を寄せるものであります。

 まず、都民ファーストの都政改革ですが、知事の改革の理念、目指すものとしてのプリンシプル、信条と課題解決のための具体策としてのソリューション、方策を改めてお示しください。

 2)都政改革のフォーメーション・組織体制について
 さて、豊洲の地下空間の検証について、歴代知事や幹部の責任が問われています。ピンポイントで指し示すのは難しいと、知事も我々都議も、何より都民にも口惜しい結果となりました。
 一方、知事が旗を振っているイクボス宣言は、トップダウンで押しつけるのではなく、幹部職がみずからその内容を考える画期的なものです。ガバナンスもコンプライアンスも問われている今の都庁において、何のとがもない第一線の職員が今後モチベーション高く安心して問題提起、解決でき、局間連携はもちろん、そして、局内連携もできる組織風土醸成に向けてのトップダウン、ボトムアップをどう組み合わせていくかの基本的なお考えをお聞かせください。
 また、前知事が補佐官を活用したトップマネジメント体制を目指し設置した政策企画局のあり方も気になるところです。早速マネジメント本部を設置しましたが、知事の補佐体制、副知事人事もあわせて十六万余りの都庁職員をどうマネジメントしていくのか、現時点での知事の考えをお聞かせください。

 3)行政部局と議会の関係性のあり方について
 議会と行政ですけれども、なれ合い、根回しで問題を表面化させず、先送りの温床となる硬直的な台本議会でいいのか、知事として議会との議論で何を目指すのか、お答えください。

 4)行財政改革について
 また、行政は予算主義になりがちでして、成果をフィードバックする決算なくして予算編成はできようもなく、本来は決算主義であるべきです。ついては、今般の決算審査にどう臨むのか、知事のご覚悟をお示しください。
 また、オリ・パラの予算膨張を鑑み、財政を均衡させ、予算の肥大化を防ぐための条例が必要と考えます。均衡予算と健全財政原則を条例化すれば、行政全体にマネジメントもガバナンスもきき、無尽蔵に予算がふえることをいさめられます。
 あふれんばかりのぜい肉をつけてしまった巨大な肥満都市東京のダイエットレシピとして、財政健全化を定める条例制定を視野に入れるべきと考えますが、ご所見をお示しください。

 5)庁舎管理について
 オリ・パラ組織委員会が虎ノ門ヒルズに月額四千万円支払っていることが話題になっておりますが、職員組合事務所十二団体に、都庁舎を竣工以来、二十五年間、約千八百平米、無償貸与をしております。皆さんご存じの第二庁舎一階、コンビニと同等の貸付料をとれば、月額約五千万円、二十五年ともなれば百六十億円相当ただ貸ししているということになります。
 ちなみに、組織委員会も使用しており、月額二百三十万円お支払いをいただいております。つきましては、過去の経緯、現状と都民益の観点からご所見をお示しください。

2.「都民ファースト」を取り戻す都市間交流の適正化について
 1)都市外交基本戦略について
 都市外交基本戦略についてですが、前知事が策定したものを継承していくのか、また、昨年度大幅に未執行なのに今年度三億円余りと大増額された都市外交予算につき、どの程度執行していくのか、お答えください。

 2)都市間交流の組織体制について
 国から都庁への最後の天下りといわれる外務長と都市外交担当部長を外務省から受け入れる意義について改めてお答えください。

 3)延遼館(都立迎賓館)の必要性について
 都立迎賓館、延遼館について、国の既存施設やホテルなど利活用する方が常設施設を持つよりも経費が節減でき、景気貢献もできると考えます。知事選中、条件つき継続とされていましたが、計画の現状と一旦立ちどまるおつもりがあるのか、改めて知事の所見を求めます。

3.「都民ファースト」を取り戻す福祉・教育政策について
 1)「子どもファースト」の保育園・児童施策について
 子供ファーストの政策についてお尋ねします。
 まず、要保護児童、養護施設にいる子供についてですが、子どもの権利条約二十条では、特に、里親委託と定義され、都の児福審は、乳児は里親に委託すべきと答申。一方、日本の里親委託は主要国最下位の一二%、都も一二%で全国平均以下です。国の社会的養護の課題と将来像を踏まえ、都における脱施設、里親推進に向けて小池知事の意気込みをお聞かせください。
 保育園待機児童緊急対策につき保護者、事業者が期待を込めて見守っております。東京問題の長年のテーマである量の確保、重大事故ゼロに向けて、質の担保のバランスをどうとられていくのか、施策展開の実情と考え方をお聞かせください。
 前向きな対策を踏まえ、来年度予算への継続性の担保と、事業実施において間違いなくバウチャーは保護者に使われるか等、区市町村格差への対応をお示しください。

 2)学校災害・事故について
 本年七月、都立墨田工業高校で水泳の飛び込み指導により男子生徒が首の骨を折り、現在も治療中とのことです。元気に送り出した我が子が、たった数秒の危険な指導により、重大事故となるのは公教育現場ではあってはならないことです。
 私は一般質問で、市場長も歴任、現在メトロ取締役、当時の比留間教育長に、学校災害につき、学校保健安全法二十六条に基づいた安全対策をただしたところ、明言を避けました。
 再質問でようやく比留間教育長は、同法に則していると答弁。ところが、このような事故が起こってしまいました。
 本年一月に設置された安全対策検討委員会の答申を受けての対応状況と、全ての公教育現場における再発防止策について、改めて、過去の私への答弁も整合の上、同法に基づきご説明ください。

 3)公権力の行使における管理監督体制について
 全国初の劣悪猫カフェ登録取り消し処分が今年度の予算審議での私の追及により下されました。都は多岐にわたり、都民や事業者に権利を与奪し義務を求める強大な公権力、処分権限を持っています。これらの処分の多くは知事の名前で行われますが、実施していくのは個々の職員です。
 処分は、私のようなうるさい議員にいわれるまでもなく、適正に執行されるべきですが、そのために職員の意識をどのように高めていくか、考え方と取り組みについて説明してください。

 4)官民連携福祉貢献インフラファンド
 最後に、子育て支援を進める官民連携福祉貢献インフラファンドについてですけれども、モニタリング体制が重要なことから、改めてファンドの目的、組成、目論見書などの内容について確認させてください。
 予算制約が甘くなる懸念もありますことから、ファンドにおける公益について、いかなる指標によるか、ご所見を伺います。

 神は細部に宿るといいます。知事が高らかに掲げた改革マインドが、前知事が任命をしました副知事はもとより、全ての都庁十六万人の職員の心とにともり、なれ合い、先送り、隠蔽から都民ファーストの善政競争に昇華いたしますことを心よりお祈り申し上げまして、私の再質問を残しまして、私の質問を終わらせていただきます。

【再質問】
都庁舎無償貸与の答弁ですが、都民ファーストの観点からすると、職員の勤務条件の維持向上を図るために、月額五千万円とれそうなところを無料というのは、都民の理解を得ないのではないかなと思います。
 私が江戸川区議会議員時代、指摘して徴収するようになりましたことから、今後徴収の検討はされないのか、また、ご指摘の労働組合法によれば、最小限の広さの事務所と定められていますが、見解を求めます。

本会議の様子はこちらでご覧いただけます。