本日、第50回衆議院議員総選挙が公示、第26最高裁判所裁判官国民審査が告示されました。今月9日の石破茂内閣による解散を受けたものです。

地域政党 自由を守る会は、今回の総選挙にあたって、いずれの政党、候補者とも組織として応援しないことをまず申し上げます。

今回の総選挙の2つの特徴

 今回の総選挙は、制度面と政治面から特徴・変化が見られます。

 まず、制度面の変化としては、2020年の国勢調査の結果を受けて、全国140選挙区で区割りが変更されます(全国では10増10減)。東京都内では、小選挙区が5つ増えます。このことから選挙区換えする候補者がおり、「今まで投票していた候補者に投票できない」という事態が頻発することが予想されます。区市町村を分断する小選挙区が増加しており、区割りに地域住民の意思がどこまで反映されているか、疑問を呈さざるを得ません。また、比例東京ブロックの定数は2議席増えて19議席になります。

 次に、政治面の変化は、総選挙直前に主要な国政政党の党首が交代したことです。
本年1月に日本共産党の委員長が交代しました。9月には、自由民主党、立憲民主党、公明党で党首選挙が行われ、新しい党首が誕生しました(公明党は無投票)。自民党総裁選挙では、現職の岸田文雄首相が立候補断念に追い込まれ、9名で争われた結果、国民的人気の高い石破茂氏が5回目の挑戦で総裁に選出されました。また、立憲民主党代表選挙では、泉健太代表が落選し、民主党政権の元首相の野田佳彦氏が選出されました。
二大政党において現党首が次々と立候補断念、落選の憂き目に遭うという事態は特筆すべきことです。二大政党ともに党首が相次いで求心力を失い、退いていったことになります。さらに、第3勢力とされる日本維新の会においては、党幹部や所属国会議員が大阪府内の選挙応援に参加せずに観光旅行に言っていたことが報じられています。このようなサボタージュも求心力の低下の一旦です。

国政政党によるご都合7条解散

 結果として、国政与野党とも党首の顔触れは代わり映えの無いものになりました。自民党総裁選の期間中から解散・総選挙の時期が議論されました。現在の政権は、内閣不信任決議が可決されなくても内閣はいつでも自由に衆議院を解散できるとする「7条解散」の立場に立っています。衆議院解散は時の政権与党に有利なタイミングで行われることが多く、政党間の公平性の観点から「課題がある」と指摘する一部議員や専門家は少なくありません。
石破首相自身、憲法7条に基づく解散に以前は否定的だったのですが、首相就任後は「新内閣への信任」を理由に挙げて、戦後最短の就任8日で解散に踏み切りました。

 一方、野党側も新党首同士の議論を求め、早期解散は「敵前逃亡」と批判しつつも、解散の動きに追随してしまい、早期解散、7条解散の問題点を提起するより、選挙準備と選挙向けアピールに力点が置いていきました。解散直後から、国政各党のコマーシャルがテレビに流れるようになりました。党内求心力が低下している国政野党にとっても、解散総選挙は一時的に結束を高め、勝利をすれば党首はリーダーシップを保てるとの目論見があったのではないか、と疑念を持たざるを得ません。

地方と地域住民を置き去りにした解散・総選挙

 上述のように、国政政党の党内事情と党内政局の中で、早期解散・総選挙の流れが作られていきました。この流れで、国民の声、地域の声は顧みられることはありませんでした。今回の総選挙の焦点について「与党が過半数の議席を確保して連立政権を継続するのか、野党が勢力を伸ばして与党を過半数割れに追い込むのかが最大の焦点」(NHK)と報じられています。本当にそうなのでしょうか。

 解散に先立つ臨時国会では、今月8日に旧優生保護法に基づき不妊手術を強制された被害者本人・配偶者らに新たな補償を行うための法律が衆議院、参議院1日ずつの審議で成立しました。
一方で、元日の地震で甚大な被害を受けた能登半島を9月20日から24時間雨量が400ミリ超という観測史上最大の大雨が襲い、13名が亡くなりました。震災復興の遅れが指摘されていた地域での豪雨被害が拡大し、複合災害になりました。阪神・淡路大震災以来、震度7規模の震災に際しては補正予算が編成されていました。東日本大震災の時は、連休を返上して補正予算を審議し、成立させました。ところが、能登半島地震に対する補正予算は未だに編成されず、予備費で対応しています。
石破首相が激甚災害に指定すると表明したのは、10月5日でした。国が補正予算を速やかに編成し、インフラの復旧を進めていれば、豪雨被害を減衰することもできた可能性が考えられます。10月になり、能登半島では豪雪の季節が迫ってきています。

 総選挙より先に能登半島の復興への予算措置が求められたはずでした。

政治の中心は永田町ではなく地域にある

 以上の理由から、本会は今回の総選挙において、冒頭に述べたような対応をすることにいたしましたが、選挙後、政局は混乱することが予想されます。本会は、国政の混乱に左右されることなく、地域住民の自由・生命・財産を守り、地域の声を政治に反映していくため、引き続き精力的に活動を進めてまいります。

 みなさまにおかれましては、変わらぬご支援、ご期待を地域政党 自由を守る会に賜りますようお願い申し上げます。

 最後に、上述してきたように、国政政党のご都合で、喫緊の政策課題への対応や政策論争をなおざりにし、解散・総選挙となってしまいましたが、有権者お一人お一人が貴重な一票で国政に意思表示をする機会です。国政政党の体たらくを正すためにも、その貴重な機会を有効に活用して、よりマシな国政に少しでも近づけるように呼びかけて、第50回衆議院総選挙の公示に際しての談話といたします。
地域政党自由を守る会 代表 上田令子