東京2020パラリンピック競技大会の閉幕と菅首相退陣表明にあたって(談話)

地域政党自由を守る会 代表 上田 令子

【はじめに】

去る9月5日、東京2020パラリンピック競技大会(以下、「東京パラ」)が、22競技539種目全てが無事に終了して閉幕しました。
7月23日の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開幕から閉幕の9月5日まで、日本国内における新型コロナウイルス感染者は累計716,588名に上り、この間、1,257名の感染者が亡くなられたことは、両競技大会の中止・延期を重ねて強く求めてきた本会として極めて遺憾であり、亡くなられた方、ご遺族に心より哀悼の意を表明いたします。
特に、観戦中のみならず、移動中においても、感染拡大リスクが指摘される、子どもたちの「学校連携観戦プログラム」が、本会などが即時全面中止を強く要望したにもかかわらず、都内の1万4千人余りの児童生徒の感染が強行され、教職員に感染者が発生したことは、許されるものではありません。

【都民国民の命・健康よりも政局に翻弄された五輪・パラ大会】

このような中、9月3日に菅義偉首相は突如、来る自由民主党総裁選への不出馬を表明し、今月末の退陣を表明しました。国際大会の閉幕を見届けない時点での退陣表明は、政治責任の放棄であり、日本の国際的信用を害するものであり、極めて無責任であります。
菅首相は、退陣表明にあたり、「新型コロナウイルス対策に専念したいので総裁選に出馬しない。任期は全うする」と述べましたが、安倍前政権に続き、まん延拡大が続く中、有効な対策が執られず、国内感染者発生以来の対策は検証されておりません。政府・与党の責任は、極めて重大です。
翻って東京都はどうだったのでしょうか?
小池百合子知事はオリンピック開会式・東京都議会議員選挙直前に「過度の疲労」により公務から離れ検査入院するも投票日前日に突如復帰し、免停・無免許、当て逃げ、交通事故を起こした木下富美子都議ら都民ファーストの会公認候補の応援にはせ参じておりました。この間も都内において、終息の兆しどころか、期間中を通じて毎日、一千名超の感染者、連日の死者、万を超える自宅療養・待機者がいたにもかかわらず、感染対策よりも、開催都市の長として大会実施に拘泥し続け、働き盛りの30代~50代が自宅療養中に亡くなるという事態に陥らせた小池百合子知事の政治・行政責任は、厳峻に問われなければなりません。

【ウィズコロナ、アフターオリパラの東京を見据えて】

大会後の「負のレガシー」についても、厳しく問われなければなりません。昨年12月に発表された大会予算の第5版(V5)では総経費は1兆6440億円となっており大会経費について過去最大と報道されてはいるものの、今日現在その額が確定する時期さえ、明らかになっていません。900億円にも及ぶ無観客開催による入場料収入の遺失、大会施設の建設費の償還、維持管理費につき、それでなくても長引くコロナ禍対策による財政も逼迫するなか、オール都庁・都議会で徹底的に都民への情報公開をしながら、精査しなくてはならないでしょう。その上で、コロナ対策による財政負担増と税収源が明らかになる中、これらの「博大な」財政負担を将来にツケ回すことなく、都・国・JOC・IOC・関係機関で適正に分担し、速やかに清算していく必要があります。

【今、東京都議会に求められること】

以上をふまえたならば、いわずもがなであるものの都議会においては、両大会とコロナ対策、将来負担について検証するため、直ちに東京都知事も東京都議会議場も都議会議員も臨時会招集を求めるべきです。本日、当会も「副知事宛、9月13日以降の補正予算について臨時会の招集を求める申し入れ」を共産党、立憲民主党、生活者ネットワーク、グリーンな東京等5会派にて行ったところです。
開会前に「新型コロナの感染拡大・市中感染により、自宅療養を強いられて、通常の医療にアクセスできない都民・国民が万単位で発生している状況は、国民皆保健制度という日本が世界に誇ってきたセーフティーネットが底割れしてしまっていると言わざるを得ない」と当会としては、警鐘をならしました。想定以上に、東京都の医療体制は危機を通り越した「災害レベル」となり今日に至ります。
大会に参加され最善を尽くされた世界各国の選手には感謝と敬意をはらうものでありますが、「ホストシティ」の地域住民の命が奪われ、前代未聞の自宅療養を敷いて健康被害と不安に陥れたことは、ソーシャル・インクルージョンの理念及び五輪憲章の意義に反し、「終わりよければすべて良し」で決して片づけてはなりません。
経済損失のみならず、多くの都民に犠牲を強いた「負のレガシー」も重く受け止めるべきということを強く指摘し、2021年夏に開催を強行された東京五輪・パラ閉幕の談話といたします。
以上